Q&A for Research
研究テーマについて
Q: 一言で言って,どんな研究・スタイルの研究をするのでしょうか?
A: データ処理・学習・最適化に関わるアルゴリズムの考案と開発,またそれらの数値シミュレーションや理論的アプローチによる評価を行います.
- 新しいアルゴリズムの提案は重要ですが,既存のアルゴリズムの性能や性質(誤差上限,収束速度等)を理論的に評価することも極めて重要な研究テーマです.
- 逆に,理論的側面にこだわって実際の経験的性能を軽視することも問題です.
- アルゴリズムと理論,実験的(経験的)性能,との三位一体型の研究をすることが重要です.
Q: 機械学習やデータ処理については他の研究室でも研究しています.他の研究室との違いについて教えてください.
A: 他の研究室とテーマが重なっていることは,その通りだと思います.その中において,アプリケーション・応用指向のアプローチよりは,あくまでデータ処理・学習・最適化に関わるアルゴリズ研究の視点からのアプローチに重きをおきます.
- 近年,様々な研究領域で,データ指向型(Data-driven)のアプローチが著しく発達していますので,研究テーマのオーバーラップは起こりえます.寧ろ,それで良いと考えています.
- ですので,個別の研究室との差を言うことは難しいですが,この研究室では,あくまでデータ処理・学習・最適化に関わるアルゴリズム・手法の研究が主体となっています.
- 理想的には,その開発アルゴリズムが複数の応用で利用されることを期待しています.
- ただ,特定のアプリケーションを意識してアルゴリズムを検討することは極めて重要ですので,その分野の研究者との連携を強化しています.
- その際,これまでの既存の手法を適用するといった立場ではなく,適用する場合の問題点に着目し,新しい視点でのアルゴリズム適用方法,あるいはアルゴリズム開発を検討することを主目的にしたいと思っています.

図:機械学習問題の階層モデル
全ての階層を起点として進めますが,下 2 (or 2.5) 階層からの視点に重きをおきます.
Q: どのようなアプリケーション・応用の領域を考えていますか?
A: 限定した領域はありません.
- 例えば,医療分野では医療画像診断などに関連するコンピュータ・ビジョンの領域,セキュリティ分野では遠隔監視システムにおける動画解析の領域,コンピュータ・ネットワークでは,パケットトラヒック解析により異常検知,バイオの分野ではDNA解析,ソーシャルネットワークではネットワーク解析によりコミュニティ検知などがあります.
研究ゼミについて
Q: 研究進捗ゼミや輪講ゼミはどのように行いますか?
A: 週に1回,研究進捗ゼミを行います.

- 前回の研究進捗ゼミからの進捗を確認します.
- ただ,1週間で研究が大きくする進むことは稀なケースかと思います.研究を進める上で考えたことや,作業内容,また次の週に向けての課題や作業予定等について報告していただきます.
- 基礎ゼミでは,研究に必要な数学の基礎事項について復習します.また,基本的なプログラミング言語について習得します.
- 輪講ゼミは,書籍やプログラミング演習書,論文等について,学生が分担して発表することで,当該技術やスキルを理解・習得するゼミです.研究室全体で行うゼミに加えて,学生主体で自主的に行うゼミもあります.
その他:研究についての教員の個人的な考え方
研究の適性はこれまでの学業成績とは必ずしも一致しないこともあるので,全く新しいことに挑戦すると思って取り組みましょう.
- 試験やレポートで好成績を収める能力と研究能力は異なると思います.
- 自身の中に潜んでいる自分でも気づいていない能力を開花させましょう.
- もちろん,これまで学んだ知識(特に数学)やスキル(特にプログラミング)が必要です.
- ですので,既に身についている人は,スムーズに研究に着手することができるでしょう.
- しかし,もし忘れていたり,身についていなくても,必要に応じて(必要な事柄を)復習してください.特に,研究に必要な数学については基礎ゼミで総復習します.そうすれば問題ありません.
好きなテーマ,没頭できるテーマを見つけ,自ら主体的・自律的に研究を進めましょう.
- 好きなテーマや自分で見つけたテーマを進めるほうが良い成果が出ていると思います.
- ただ,真に没頭できる具体的なテーマを見つけるには,またそのように思えるようになるには,それなりの努力と模索と忍耐が必要です.
- 「何をすればよいのか?」や「何から始めれば良いのか?」と思うことも多々あるはずですが,それは当然です.それを考えること,そのために何か調査することから研究が始まります.
- しかし,ただ単に思い悩んでいて何も行動しないこととは違います.時間を浪費しないように気をつけてください.
- ここで,教員はその支援をします.いろいろな選択肢(技術範囲,技術エリア,関連情報,論文)を示すことができます.
「毎日コツコツ」進めることが重要です.
- 「毎日コツコツ」というのがポイントです.できるだけ毎日,研究室に来て,研究や勉強,スキル獲得に励みましょう.友達と話をするだけでも良いと思います.
- 今後の予定を考慮して,毎日コツコツと作業を進めることを勧めます.研究はテスト勉強とは違いますので,発表前の1週間や1日で結果がでるものではありません.少なくとも数ヶ月が必要です.
- 研究室生活はこれまでの受け身型の講義受講スタイルとは異なり,基本的に「自由」です.ゼミや輪講などの時間以外の時間の使い方は,学生自身に委ねられています.ですので,強い「自律性」が求められます.そのため,規則正しく研究生活を送るために「研究室在室予定表」と「タイムカード」が役に立ちます.